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住宅ローンを延滞し任意売却になったケース

2018.0711

 千葉県船橋市で社員20人の内装業を経営する小室さん(仮名)。43才のバリバリの女性経営者のお話です。

 

 弟さんはサラリーマンになってしまい、もともと建築が好きで、大学の建築学科を卒業した小室さんは、何ら抵抗もなくお父さんの家業を継いだそうです。

 

 小室さんの夫は裏方で専務になり、夫婦で頑張ってきました。子供は2人おり、船橋の実家でご両親含めて6人で生活してきました。

 

 事業も順調だったため弟夫婦に実家を譲り、平成12年の春に墨田区に88m2のマンションの一時募集に応募しました。入居はその年の12月予定。購入価格は5,800万円で、頭金は1,000万円でした。

 

 夏休みに子供を転校させ、7月には東京・墨田区の購入したマンションの近くに賃貸マンションを借り、新居への引っ越し準備を整えていました。

 

 ところが、秋になると事態が急変しました。仕事の受注先の建設会社が不渡りを出して倒産。小室さんの会社は6か月分で6枚の手形を持っており、総額3億円以上ありましたが、むろんすべて不渡りです。銀行で手形割引をしていたので、銀行との交渉が毎日のように続いていました。その合間に、マンションの購入をやめる旨をマンション業者に連絡すると、販売価格の20%を違約金として支払えば解約できるとの回答です。ただでさえ金策に走り回っているのに、1,100万円もの違約金なんて払うことはできません。銀行との交渉が上手くいきさえすれば何とかなると思い、結局、契約解除はしませんでした。しかし、マンションに入居する頃には自分の会社が倒産寸前です。

 

 小室さんは、ほとんど毎日のように銀行へ行って交渉をしてきましたが、平成13年4月に銀行との交渉も決裂して会社は倒産状態となり、残っていた5人の社員も解雇して、夫と2人だけになってしまいました。それでも仕事を依頼してくれる会社があり、そのまま下請けに回して少しだけの利益を取っていたそうです。

 

 銀行との交渉決裂により、銀行は担保に取っていた船橋の実家を競売にかけてきました。弟夫婦が両親を引き取って賃貸アパートに引っ越していき、長い間ずっと住んでいた実家も競売で落札されて人手に移りました。

 

 購入したマンションは約1年間、遅れながらも返済をしていたそうです。しかし、夫は気の強い奥さんについてきただけなので、すっかりダメ夫になってしまい、仕事にも就かずに毎日ブラブラするような状態。弟夫婦に両親の世話を頼み、小室さんは学生時代の友人を頼りに小田原へ引っ越しました。夜はスナックに勤め、昼は週3日、工場にパートで勤めることにしたそうです。夫には離婚を告げたのですが、その後、マンションに半年ほど住み続けた挙句に、電気を止められて出て行ったそうです。

 

 私たちが債権会社の依頼で小室さんに会いに行ったときは、母子家庭ということで公営の団地に住んでいましたが、小学校2年生になる男の子を連れて待ち合わせの喫茶店に現れた小室さんは、まだ女社長の面影も残していました。

 

 今後の生活への不安はあったのでしょうが、売却には応じて専任媒介契約書にハンを押してくれました。「子供が2人いるので、自己破産者にはなりたくないんです」とキッパリ言われたのが印象に残っています。権利証を紛失していたために、保証書で売却をすることとなりました。そのために3度小田原へ行きましたが、小室さんの協力で手続きは順調に進みました。

 

 マンションの売却価格は2,200万円で、購入したときの価格の半分以下ですが、小室さんの場合には、商工ローンやサラ金に手を出していなかったのが不幸中の幸いです。銀行だけの借金で当座も使っていなかったため、支払いは銀行一つだけで済み、これから少しずつ返済していくそうです。賢い小室さんのこと、うまくしのいで欲しいものです。

 この小室さんの任意売却後に残った債務の支払いは、月々2万円で債権者側に合意してもらえました。

この記事を書いた人

松隈 健志エージェント

松隈 健志 エージェント

不動産の前は、建設業に携わっていました。リフォームの知識を活かしながら、最高の住まい探しをご提案します。家のことなら何でもご相談ください。

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