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競売されたアパートの居住者の例

2018.0706

 任意売却センターの受付女性から私の携帯に電話が入り、「任意売却のことではないみたいなんですが、福島県○○市のNさんという方に連絡をしてください。困っているようなんです。今なら自宅にいらっしゃるそうです」とのこと。

 

 Nさんに電話をすると「実はですね、困っているんですよ。いま住んでいるアパートが競売で落とされてしまって持ち主が変わり、その新しい持ち主から出て行けと言われているんです。それも今月中に出て行って欲しいと言われているんです。出て行くにしても私にはお金がありません。それに私は目が不自由で生活保護を受けているんですよ」とのご相談でした。

 

 さらに詳しく状況をお聞きすると、家賃は月額48,000円で敷金は2か月分。賃貸借契約はまだ1年は残っているとのこと。そして、落札者は郡山市の建築会社なのだそうです。

 

 Nさんは「費用はいくらかかるのですか?」としきりに気にされていましたが、「今回のNさんのこの件に関しては費用はいただきません。駄目でもともとで、その建築会社へ連絡をしてみます」と答えました。それからNさんに「その物件を紹介した不動産業者は何も言ってこないのですか?」と質問をしてみました。すると「不動産業者は一度、このアパートが競売になったことを電話で連絡してきただけです。管理会社は競売にかかった時点でやめてしまいました。賃料は所有者が取りに来ていました」とのことです。

 

 まず、○○市の福祉事務所へ電話をしてNさんの事情を説明すると、28万円位は援助金が出るとのこと。これで、とりあえず一安心です。そして、Nさんからファックスで送ってもらった○○市の建築会社へ電話を入れると、Aという担当者は「あなたは?」と質問をしてきました。「友人です。いろいろと相談を受けているんですよ」と答え、続けて「今すぐに出ろはないのでは。1年ほど契約は残っているし、最低でも6か月は賃料を払えば居住できるはず。敷金の払い戻しもあるでしょう」と言うと、「それは、元の所有者に言ってください」と担当のA。「そんなもの元の所有者が持っているわけないでしょう。ですから6か月間、このまま住まわせてくださいって提案しているんですよ」と私。Aは「いや、ウチは建物を壊して分譲するものですから、そうそう悠長に構えていられないんですよ」

 

 そんな堂々巡りのやり取りを、10日間の内に3回ほどしました。その結果、「2か月間なら居住していても構わない。2か月後、退去するときにNさんに対して20万円を支払う」という覚書を交わして、話をまとめることができました。Nさんは、福祉事務所からの分と合わせて50万円ほどの資金を用意することができ、引越しも無事に終わりました。Nさん、いつまでもお元気で!

この記事を書いた人

左達 誠司エージェント

左達 誠司 エージェント

不動産業界歴19年目で今まで賃貸、管理、売買と経験しています。住まいに関するさまざまなアドバイスでお客様の理想の暮らしをお手伝い致します。

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