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住宅ローンが破綻し任意売却で処理した事例

2018.0703

 愛知県に住むSさんからメールでお問い合せがあったのは、初秋のまだ蒸し暑い日でした。Sさんは、任意売却センターのウェブページを約1か月間毎日みていて、やっとメールで相談をすることを決心をし、必死の思いでメールを送ってきたそうです。そして電話でのやり取りの後、横浜での面談へと進展いたしました。

 

 Sさんは平成元年から平成3年にかけて、名古屋と東京にある大手業者のマンション4戸を購入したとのことでした。2戸はワンルームマンション、2戸は2Kのマンションです。これら4戸のマンションの購入価格は総額で1億円を超えていました。

 

 Sさんは、やり手の保険会社の社員で、当時は1,000万円の年収を稼いでいたそうです。そして時代は平成不況に入り、保険会社も吸収合併が行われ、Sさんの身にも不況の波が襲いかかってきました。

 

 約20年前、これらのマンションを購入した当時のSさんは35才前後でした。そのSさんも今では55才。年収は約300万円も減ってしまい、加えて、住宅ローン支払いの年間持ち出しが300万円になる始末。そして、大学生の息子さん達の授業料の支払いもきつくなり、カードローンで生活費を捻出することもしばしばです。

 

 それでも、ローンは払い続けてきました。8月のボーナス返済も必死の思いで支払ったのですが、さすがにもうダメだとあきらめました。

 

 4戸もマンションを持ちながら、自宅は借家です。Sさんは「もう、いいです。もう観念しました。なんとか売却をして残債務も少しずつ支払います」と、疲れ切った話しぶりでした。任意売却センターを訪れたときのSさんは、売却の決心を裏付けるがごとく、4戸のマンションを購入した際の資料をすべて持参していました。

 

 2Kのマンションはいずれも名古屋市内です。賃料は月額75,000円と82,000円。管理費は20,000円弱です。固定資産税・都市計画税および賃貸管理会社への手数料などを差し引くと、この2戸のマンションからの実際の手取り収入は、年間で約120万円です。しかし、年間の返済額はその2倍以上の約280万円になります。

 

 一方、2戸のワンルームマンションはいずれも東京の足立区で、賃料は60,000円と70,000円です。同じように管理費などを差し引くと年間の収入は約100万円なのに対して、返済額は約250万円にもなります。

 

 これら4戸のマンションで、年間返済額は約530万円となります。約20年間でおよそ1億円の返済をしていることになりますが、ローンはまだ10年以上残っています。

 

 Sさんは勢いで最初の1戸を買ったのですが、その後は営業マンに「これはどうですか、あれはどうですか」と勧められるままに、2戸目、3戸目と購入していったのだそうです。年収が約1千万円あり、銀行もほぼ無条件で融資をしてくれたようです。当時は子供も小さかったので、持ち出しがあっても返済はあまり苦になりませんでした。

 

 しかし、給料が下がり始めるのと同時に、2人の子供も中学、高校へと通うようになり、教育費も無視できない額になりました。また、賃貸している部屋が空いてしまい、賃料が入らずに給料の半分以上がなくなってしまうこともしばしばあったようです。賃貸管理会社から言われるままに、賃料を3,000円下げたり5,000円下げたりといったことを続けていたようです。

 

 10年ほど前からは返済日が来るのが怖かったそうです。「いままで何をしていたのかわかりません。私はあと5年で定年です。もう、このようなことを続けていたら家庭がおかしくなってしまいます。マンションを売却してください」と、分厚い資料を差し出しました。

 

 こちらからのアドバイスを受けた後、Sさんは「もっと早く、1年前か2年前に相談していれば良かったです」と、スッキリしたのか、完全に見切りをつけたのか、話を終えたときには明るくサバサバとしていらっしゃいました。

 

 さらに「もう、返済するつもりはありません。7月に子供の授業料の請求書が届いたのですが、その中に退学届けも同封されていたのです。大学4年生なのですが、ここで辞めさせたら一生恨まれますよね」と苦笑いをされていました。

 

 Sさんは任意売却センターで専任媒介契約を結びました。Sさんの物件には賃借人がいるために、エンドユーザーへ売却するのはなかなか難しいので、業者または投資家へ売却する旨を伝えました。残債務は1戸につき1,000万円~1,200万円あり、4戸の総額は5,000万円弱です。債権者はA銀行とB銀行の2社です。 

 

 販売活動を行い、東京の2つのワンルームマンションは、700万円と860万円で買い手が付きました。B銀行の保証会社と交渉を始めたときは年が明けて1月になっていました。Sさんは「賃料はどうなりますか?」と心配そうに聞いてきましたが、「抵当権者は賃料の差押えができますから、これをやられたら仕方がないですね」と説明しました。続けて「では、それまでは賃料をもらっていてもいいんですか?」「まぁ、債権者が何もしてこなければ良いんでは」「何か悪い気もするんですけど・・・」というようなやり取りもあったのですが、結局、債権者は差押えをすることもなく、Sさんは数か月間にわたって月30万円程の賃料を受け取り、息子さんの後期の授業料分に充てることができました。

 

 名古屋市の2物件はなかなか買い手が付かずにいましたが、名古屋市内の担当業者の並々ならぬ営業努力の甲斐があって、無事に契約となりました。

 

 Sさんは、2つの保証会社に多額の残債務ができてしまいましたが、任意売却センターの担当者とSさんとでこれらの保証会社に足繁く通い、何度もお願いを重ねて、月々3万円の支払い、そして1年後に再交渉をすることで話がまとまりました。Sさんは「年間300万円の支払いがずっと少なくなって本当に助かりました」と言われ、「20年近くもの間、無駄なお金を使っていました」と深々と頭を下げられました。そのときのSさんと奥様の顔には満面の笑みがありました。

この記事を書いた人

稲田 球子エージェント

稲田 球子 エージェント

初めまして、ハウスエージェントの稲田です。お家探しのお手伝いをさせていただき、皆さ んに「ありがとう」と言っていただけることが私の一番のやりがいです。お客様と正直に向き合い、お互い笑顔になるようなお家探しができる自信があります!お任せください!

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